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江戸後期の思想空間
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江戸後期の思想空間
A5判・472頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1224-6
C3021
2009 年発行
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多様な思想が花開いた江戸後期において、徂徠学が生み出した新たな読書方法「会読」。この会読という方法を通して、「日本」「天皇」という当時としては新奇な観念の発生、「日本人」というナショナル・アイデンティティの発生の現場を再現する。 第32回角川源義賞(歴史研究部門)受賞
●目次● はじめに 第一編 思想空間の成立 第一章 近世日本の公共空間―「会読」の場に着目して― 1 学習方法としての会読 2 会読の起源と流行 3 会読の原理的問題 4 正学派朱子学の会読 5 昌平黌と藩校の会読 6 会読における「理」の読み替え 第二章 討論によるコミュニケーションの可能性 1 会読の四つの問題 2 対等な人間関係の場としての会読 3 寛容の徳を育成する場としての会読 4 自由民権期学習結社の会読 第三章 蘭学者の国際社会イメージ―世界地理書を中心に― 1 世界地理書の課題 2 新井白石『采覧異言』 3 山村才助『訂正増訳 采覧異言』とその影響 4 青地林宗『輿地誌略』と渡辺崋山 5 箕作省吾『坤輿図識』とその後 第四章 国学者の西洋認識 1 蘭学者の翻訳世界地理書と国学 2 『訂正増訳 采覧異言』と佐藤信淵『西洋列国史略』 3 「共和政治」の波紋 4 国学者の拒否した観念 第五章 近世日本の封建・郡県論のふたつの論点―日本歴史と世界地理の認識― 1 封建・郡県論の課題 2 日本歴史の二分法 3 日本歴史の三分法 4 蘭学者の世界地理像 5 明治維新の復古郡県論 第二編 国学と儒学の交錯 第一章 近世日本の神話解釈―孤独な知識人の夢― 1 「端原氏城下絵図」 2 「神代」と「人事」 3 垂加神道と宣長 4 不条理な現実と禍津日神 第二章 山片蟠桃の「我日本」意識―神道・国学批判をめぐって― 1 「日本」への帰属意識 2 儒家神道批判 3 鬼神と「智術」 4 本居宣長との対比 第三章 蘭学系知識人の「日本人」意識―司馬江漢と本多利明を中心に― 1 江漢と利明の「日本」への帰属意識 2 江漢と利明の「志」 3 江漢の「予一人」の自覚 4 利明の日本歴史像 第四章 只野真葛の思想 1 「日本」への帰属意識 2 真葛の思想形成 3 真葛の志 4 真葛の独創性 5 「小虫」意識 第五章 渡辺崋山の「志」と西洋認識の特質 1 蛮社の獄と古賀侗庵 2 画業と藩政 3 「天下」意識 4 初稿・再稿『西洋事情書』と『外国事情書』 5 政体論の登場 6 政治と宗教の分離 7 「万事議論」観 8 古賀侗庵との「議論」観の差異 第六章 佐久間象山におけるナショナリズムの論理 1 「皇国」のための「東洋道徳」と「西洋芸術」 2 「一国に繋る」第一期 3 「天下に繋る」第二期 4 「五世界に繋る」第三期 5 ナショナリズムの論理の特質 第七章 水戸学の「国体」論 1 天皇権威の浮上 2 水戸学の危機意識 3 不条理な現実と系譜のプライド 4 「国体」の幻想 第八章 伴林光平における神道と歌道 1 心情的急進主義 2 歌道論 3 「神事」としての詠歌 4 古道論 5 光平の「大和魂」 第九章 南里有隣『神理十要』におけるキリスト教の影響―『天道溯原』との関連― 1 『天道溯原』受容の問題 2 「首倫」としての神人関係 3 創造主・主宰神・唯一神 4 人間の罪 5 救済法としての解除と悔改 6 中村敬宇の『天道溯原』受容との比較 第十章 津田真道の初期思想 1 津田の初期思想の課題 2 津田の焦燥感 3 心情的急進論の克服 4 『性理論』 5 『天外独語』 6 明治以後との関連 あとがき 初出一覧 索引
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