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山東京伝の黄表紙を読む
江戸の経済と社会風俗
 
山東京伝の黄表紙を読む
著者棚橋正博
山東京伝の黄表紙を読む
 
A5判・384頁


ISBN4-8315-
ISBN978-4-8315-1322-9
C1021

2012 年発行 

田沼時代の申し子「黄表紙」。その最大の作者のひとりであった山東京伝の黄表紙を中心に、その時代の貨幣と経済を追いながら一六〇万都市江戸の成立や、経済・政治情勢を読み解く。

●目次●
はじめに―山東京伝の略歴―
  江戸深川生まれの戯作者山東京伝
  洒落本作者山東京伝と筆禍事件
  江戸読本に新境地を拓く
  滑稽本・合巻から考証随筆
第一章 山東京伝と江戸の草双紙(黄表紙)
  黄表紙
  黄表紙の値段
  現代の貨幣価値との比較
  敵討物黄表紙の流行
  黄表紙から合巻
第二章 江戸の大衆小説草双紙
  草双紙のはじまり―赤本―
  赤本という名のマンガ・コミック
  青本の発明
  江戸戯作と浮世草子
  享保の改革で示された草双紙の性格
  青本を書く作家たち
  黒本は青本の再版
第三章 山東京伝の黄表紙ヒット作『心学早染艸(しんがくはやぞめぐさ)』―言葉の誕生、善玉・悪玉―
  『心学早染艸』のあらすじ
  心学の流行と黄表紙
  シャボン玉を吹く天帝
  悪玉・善玉の登場
  悪役悪玉の人気
  悪玉提灯と少年暴走族
  悪玉・善玉の第二作
  悪玉・善玉のシリーズ化
  京伝の実生活観
  悪玉・善玉の錦絵
  山東京伝の景物黄表紙
  コピーライター山東京伝
第四章 戯作者山東京伝の出発
  者張堂少通辺人の黄表紙『お花半七 開帳利益札遊合』の存在
  『開帳利益札遊合』は際物黄表紙
  『開帳利益札遊合』と洒落本『咲分論』
  戯号者張堂少通辺人を考察する
  『開帳利益札遊合』と『白拍子富民静鼓音』
  『白拍子富民静鼓音』から見えてくる『開帳利益札遊合』の戯号
  山東京伝は努力の人
  山東京伝のデビュー作『開帳利益札遊合』
  洒落本作者としてもデビュー
  洒落本作者として絶頂期へ
  洒落本作者京伝の栄光期
  寛政三年の洒落本筆禍前夜
  草双紙問屋と板木師たちの軋轢
  出版規制と洒落本の手直し
  出版ジャーナリズムの寵児山東京伝
第五章 江戸の総人口―江戸の経済と江戸文学を考える上で―
  江戸の都市人口が百万になるまで
  江戸時代の情報網は線の時代
  江戸文化の熟成と江戸文学
  享保八年の人口調査
  享保二十年の人口データ
  データ末尾から年間日数を割りだす
  蔵前取りの武家が扶養する家族と奉公人
  蔵前取りと地方知行取りの武家総体数
  諸大名の江戸詰の勤番藩士の数
  黒田藩をモデルケースにして勤番武士を概算する
  勤番武士を含む武家の人口総数
  享保年間は町人6武士4の割合で九七万人
  天明六年に江戸は一六〇万人突破
  江戸の人口増と江戸っ子の誕生
  寛政三年の人口調査
  人口調査に見る官僚制度と大名
  江戸の人口増とマンガブーム
第六章 江戸の経済概説
  江戸時代の貨幣制度のおさらい
  江戸の金遣い大坂の銀遣い
  銭貨幣の普及と銭三文の意味
  銭遣いと庶民生活
  元禄八年の貨幣改鋳
  銀貨の銀の減量を『銀減』と仮称
  貨幣改鋳後の上方経済と砂糖輸入の実例
  改鋳後の上方経済の混乱と江戸を襲う災害
  宝永三年六月、七年三月、七年四月の銀貨改鋳
  宝永八年の銀貨改鋳
  荻原重秀への批判
  荻原重秀と新井白石
  山片蟠桃の経済理念
  大坂の米問屋の場合で考える
  八代将軍吉宗の登場 享保の改革
  田沼意次の登場前夜
  田沼時代を待つ貨幣政策
  南鐐二朱銀の鋳造発行
  田沼意次側近の経済官僚
第七章 黄表紙『金々先生栄花夢』の史的意味
  『金々先生栄花夢』の作者恋川春町と手塚治虫
  『金々先生栄花夢』の典拠とあらすじ
  万事カネ、カネ、カネの時代を反映
  『金々先生栄花夢』の構想と趣向
  『金々先生栄花夢』と富豪モデル
  番頭や手代の立場と仕事
  黄表紙の生命は時代性
  『金々先生栄花夢』の衝撃度
  恋川春町と時局黄表紙『悦贔屓蝦夷押領』
  武家作家退壇後も孤軍奮闘する山東京伝
  山東京伝の黄表紙や洒落本から遊びを読む
  黄表紙を読む読者層さまざま
第八章 寛政の改革と山東京伝の黄表紙
  『奇事中洲話』を深読みすると
  『奇事中洲話』のモデルたち
  『奇事中洲話』が用意した抜け道
  失脚した田沼一派と『文武二道万石通』
  『孔子縞于時藍染』でも筆の冴える京伝
  『孔子縞于時藍染』のモデル
  財政破綻のツケはいつも町人へ
  棄捐令前夜を映す『孔子縞于時藍染』
  『孔子縞于時藍染』の模倣作『天下一面鏡梅鉢』
  『孔子縞于時藍染』と『鸚鵡返文武二道』
  武家作家と町人作家の時代の終焉
【参考文献】
舌代
索引

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