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<憧憬>の明治精神史 高山樗牛・姉崎嘲風の時代 |
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<憧憬>の明治精神史
A5判・368頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1451-6
C3021
2016 年発行
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高山樗牛・姉崎嘲風(正治)によって共同して編み出した<憧憬>という思考様式の生成と展開を跡づけることによって、近代日本の「ナショナリズム論」の文脈において美や伝統などの諸価値とともに考察することで、従来の視角から捉えきれなかった思想史の側面に光を当てる。
●目次● 序 章―研究の視角 第一節 <憧憬>の発見 如何なる星の下に <憧憬>という言葉 思考様式の刷新 高山樗牛と姉崎嘲風 第二節 <憧憬>の精神史の意義 日清・日露戦争期の思想的課題 「日本的なるもの」と文化ナショナリズム ロマン主義思想の諸問題 本書の課題と方法 第三節 史料と構成の概観 高山・姉崎研究の史料論 本書の構成について 第一章―明治期における「美術」の語り方と「美学」の誕生 第一節 「美術」の語り方 美学と批評 美学受容の歴史 翻訳語としての「美」と「美術」 「美妙学説」の成立 『美術真説』と『維氏美学』 第二節 「世界の美術国」という認識 「日本は美術国である」 演劇改良会の活動 「美術」の思想性 「日本絵画ノ未来」論争 第三節 「批評」の成立 「文芸批評家」の本務 雑誌の時代 「理想」と「没理想」―森?外と坪内逍遙 明治二十六年という画期 「事業」としての文学、「人生」としての文学 第四節 「書生社会」と「誌友交際」 「書生社会」の変容 「読書社会」の到来 「誌友交際」の萌芽 「誌友交際」の特質 第二章―高山樗牛・姉崎嘲風におけるドイツ哲学の受容 第一節 高等中学校時代の高山と姉崎 高山樗牛と第二高等中学校 「吾」を超える文学の希求 姉崎嘲風と第三高等中学校 理学と世界観への関心 第二節 井上哲次郎の「現実即実在」論 その頃の帝国大学文科大学 ドイツ学の受容 「哲学」の意義 「道徳の理想」とグリーンの倫理学説 第三節 ケーベル講義と「文明」批判の視座 教壇のケーベル ケーベルの講義録 「西洋哲学史」講義 「美学及美術史」講義 第四節 「見えざる日本の兵士」の出陣 日清戦争期の帝大生 「見えざる日本の兵士」 『帝国文学』の創刊 森?外との論争 第三章―日清戦後における<憧憬>の萌芽 第一節 高山樗牛の「日本主義」思想と「美学」 高山樗牛と博文館 大日本協会の設立 「日本主義」の理論化 「日本主義」と「美学」思想 第二節 姉崎正治の「日本主義」批判と「宗教学」 「日本主義」への批判 「比較宗教学」の形成 スサノヲ論争から『宗教学概論』へ 丁酉倫理会の結成 第三節 「国民文学」論の展開 博文館『太陽』と「国民文学」 地方文壇の胎動 「国民文学」と「日本主義」 第四節 パリ万国博覧会と「美学」 歴史画論争 『近世美学』の完成 「道徳」から「感情」へ 「国家」と「美術」問題の発生 第四章―世紀転換期における<憧憬>の精神 第一節 「文明」観のゆらぎ 世紀転換期の文明観 地方文芸雑誌の世界 軍人熱と文学熱 「文明」を呪う地方青年 第二節 「日本美術史」の試み 万国博覧会と美術史の課題 岡倉の美術史構想 高山の美術史構想 「国民美術」と<憧憬>の転換 第三節 「美学」の制度化と「文明批評」 洋行内定 「文明批評家」の胎動 「姉崎嘲風に与ふる書」 制度化される「美学」 第五章―日露戦争期における<憧憬>のゆくえ 第一節 「霊性」の発見 日蓮の発見 樗牛・嘲風の往復書簡 「超越」への志向 高山樗牛の死 第二節 姉崎正治の「神秘主義」思想 姉崎の帰朝 樗牛会の結成 姉崎嘲風と石川啄木 『時代思潮』創刊 第三節 雑誌『時代思潮』の活動 『時代思潮』の誌面 『時代思潮』の立場 「自我」と「国家」 「自己犠牲」の思想 第四節 「見えざる日本」と姉崎正治 「煩悶」と<憧憬> 「見えざる日本」の動揺 日露戦後の姉崎正治 「自然主義」への対抗 終 章―本書の成果 第一節 <憧憬>の終焉 「新しき美学」の要請 「誌友交際」の崩壊 第二節 成果と残された課題 本書の成果 今後の課題 あとがき 索引
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