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〈孝子〉という表象 近世日本道徳文化史の試み |
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〈孝子〉という表象
A5判・216頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1476-9
C1021
2017 年発行
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「孝行な子」を意味する「孝子」という表象が、教化を目的として幕藩政府が行ってきた顕彰だけでなく、民間においても「孝子顕彰」という形で受容されていた。本書では、「孝子」が作られて行く過程を検討することによっていかなる意味をこめ、関心を向けていったのかを解明する。
●目次● プロローグ―道徳文化史の試み 序 章 問題としての「孝子」―課題・資料・構成― はじめに 第一節 課題―「孝子」とは何か 第二節 資料―「孝子伝」の特徴 第三節 本書の構成 第一章 由緒としての「孝子」―在村における「孝子顕彰」― はじめに 第一節 表彰の場―モノを生み出す契機として 第二節 褒美と「孝子」―由緒化するモノ 第三節 村と「孝子」―共有化される由緒 第四節 村役人と「孝子」―モノ創作と自己表象 第五節 訪問者と「孝子」―由緒の披露と普及 むすびに 第二章 文芸としての「孝子」―道中における顕彰と「孝子万吉伝」― はじめに 第一節 万吉孝行譚の概要―「孝子」の発見 第二節 資料の整理―「勢州鈴鹿山麓孝子万吉伝」 第三節 顕彰活動の展開と特質―文芸的営み 第四節 忠房の顕彰活動―顕彰プロセスの意義 第五節 「万吉伝」の読者―つながり合う同志 第六節 「孝子顕彰」の文脈―自己表象としての「孝子」 むすびに 第三章 国風としての「孝子」―藩における顕彰と『孝婦鳴盛編』― はじめに 第一節 『孝婦鳴盛編』―詩歌集を中心とする「孝子顕彰」 第二節 「孝子顕彰」の思想構造―天性・教化・風土 第三節 詠み手にとっての意義―自己表象 第四節 股野玉川にとっての意義―国家の盛を鳴らす むすびに 第四章 競争としての「孝子」―藩国家における顕彰と「孝子伝集」― はじめに 第一節 藩編纂の「孝子伝集」―「教化」説への疑問 第二節 「孝子伝集」の編纂意図―「明君・仁政」を物語るツール 第三節 『本朝孝子伝』の事件性―「明君・仁政」言説の公表 第四節 他藩への視線―「孝子」の量の重視 むすびに 第五章 公儀としての「孝子」―国家における顕彰と『官刻 孝義録』 はじめに 第一節 『孝義録』の構成―「教化」主張と相容れない内容 第二節 寛政改革という文脈―公儀権威の回復とメディア戦略 第三節 異例の「孝子伝集」―染みわたる公儀権威 第四節 孝行奇特者調査の背景―武士層を意識した企画として 第五節 『孝義録』の受容―由緒と仁政 むすびに 第六章 主体としての「孝子」―異国における顕彰と『近世蝦夷人物誌』 はじめに 第一節 「孝子伝集」としての『近世蝦夷人物誌』―二つの疑問 第二節 『人物誌』という物語―松前「苛政」と幕府「仁政」 第三節 『人物誌』の背景―主体的な「国民」創出 第四節 『人物誌』出版却下―「国民」が孕む問題 むすびに 終 章 道徳文化史という課題 【附録】近世出版「孝子伝」一覧 あとがき 索引 |
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