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古代日本の穢れ・死者・儀礼
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古代日本の穢れ・死者・儀礼
A5判・592頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1526-1
C3021
2019 年発行
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奈良・平安時代における死者理解・死者観念を、死者への態度と存在形態・空間の認識から論じる。
●目次● 序 章 死者観念に関する先行研究とその限界 一 柳田国男の祖霊観念とその限界 二 本書の考察対象と先行研究 三 本書の構成 註 第一章 穢れが問題とされる状況とその変容――神祇祭祀から朝廷儀礼へのひろがり―― 第一節 神祇祭祀との関連からみる穢れ規定――斎戒規定の拡張と神祇祭祀からの独立 一 はじめに 二 式における穢れと斎戒 三 式の運用 四 穢れの祭祀からの分離 五 分離の時期 六 式の意義 七 小結 註 第二節 年中行事の成立と神祇祭祀の地位の変化――官撰儀式書の構成の模索と漢籍 一 はじめに 二 日本の儀式書と中国の儀注 三 中国の儀注の内容と意義 四 日本の儀式書と歳時 五 唐での歳時と礼の関係 六 日本での儀式の実行主体 七 儀式書と『礼記』月令 八 神祇祭祀の位置づけの変化 九 小結 註 第三節 由来を異にする儀式間の交渉と年中行事――喪葬儀礼の変容と穢れ観念の成熟の影響 一 はじめに 二 儀礼の重層的成立 三 喪葬儀礼の反転 四 神祇祭祀の律令儀礼化 五 穢れと儀式 六 儀礼の範疇の変化と儀式書の変遷 七 小結 註 第四節 日本の神祇祭祀と唐の祭祀の差異――祭祀とは神と人のどのような形態の関係か 一 はじめに 二 中国の祭祀儀礼 三 日本の神祇祭祀 四 小結 註 第二章 喪葬儀礼と死の穢れ 第一節 穢れ規定成立時の「人死」の内容とその由来――平安時代初頭における穢れと喪葬儀礼の関係 一 はじめに 二 「人死」はどのような事態か 三 「人死」は伊勢神宮由来か 四 仮寧令と「人死」 五 唐の祠令と穢れ規定 六 小結 註 第二節 吉礼と凶礼の択一関係と穢れ規定――律令期において喪葬が位置づけられる対立の構図 一 はじめに 二 国家の秩序における喪葬の位置づけ 三 吉礼と凶礼の衝突 四 光仁上皇の喪と穢れ規定との関係 五 小結 註 第三節 摂関期の天皇の喪葬とその対立軸の変化――喪葬の仏教儀礼化・朝廷からの分離・死穢の変質 一 はじめに 二 摂関期における喪葬儀礼の典型 三 醍醐天皇の喪葬にみるその性格の変化 四 宇多法王とそれに続く譲位後の喪葬 五 村上天皇の喪葬 六 一条天皇の服喪と喪葬 七 後一条天皇の喪葬 八 律令期から摂関期への移行と天皇の喪葬儀礼の変質 九 小結 註 第三章 穢れのひろがりと収束 第一節 穢れの相対性――穢れと供物と儀礼対象の関係 一 はじめに 二 式文の穢れ規定の成立 三 忌むべきものと供物と祭祀対象の関係 四 祭祀で用いられる可能性と穢れ 五 小結 註 第二節 朝廷の穢れと神社の穢れ――律令期の穢れの非単一性 一 はじめに 二 『延喜式』の穢れ 三 神社の汚穢 四 抽象概念としての穢れ 五 小結 註 第三節 二つの穢れの融合――穢れ観念の古代から中世への展開 一 はじめに 二 峻別される神社の死と朝廷の死 三 祭祀者から検非違使への穢れ処理の移管 四 穢れ観念の相互浸透 五 朝廷での穢れの中世的再構築 六 小結 註 第四章 埋葬後の儀礼からみる律令期の死者観念――死者の形態と場所―― 第一節 埋葬後の天皇を対象とする儀礼にみる死者観念――皇帝と天皇の存在形態の差異 一 はじめに 二 廟祭と喪葬における死者 三 遺体と霊魂の関係 四 唐の陵墓での祭祀の対象 五 日本の山陵と霊魂 六 陵墓と霊魂の峻別の否定 七 小結 註 第二節 埋葬後の官人への儀礼からみる死者の形態と場所――墓を造られない官人の死後はどうなるのか 一 はじめに 二 陵墓とその祭祀についての制度 三 官人への死後の儀礼と朝廷 四 死者の扱いから導かれる死者観念 五 小結 註 第五章 仏教説話に見る律令期のもう一つの死の理解 第一節 輪廻観念の解体と因果の及ぶ限界――『日本霊異記』の化牛説話を中心にして 一 はじめに 二 『霊異記』の化牛説話の特徴 三 『霊異記』編纂の意図 四 牛は来世か現世か 五 化牛説話の背景としての冥界訪問説話 六 小結 註 第二節 滅罪の一時的滞在地としての地獄――『霊異記』の地獄(冥界)の仕組みと機能 一 はじめに 二 『冥報記』の六道輪廻という世界認識 三 『霊異記』の地獄観念と死後理解 四 『冥報記』と『霊異記』の地獄観念と死後理解 五 小結 註 第三節 冥界の空間構造と死者の身体性――『霊異記』の冥界訪問説話を中心に 一 はじめに 二 冥界訪問説話の構成 三 冥界の構造 四 この世と冥界との往来と身体 五 冥界での身体と身体性 六 この世に残る死体と霊魂との関係 七 小結 註 第四節 「異相往生」は浄土にたどりつけたか――『往生極楽記』と『往生要集』『霊異記』との比較から 一 はじめに 二 往生者の伝記の基本的構成 三 『往生極楽記』の極楽浄土 四 『往生要集』の極楽浄土との異同 五 『霊異記』の往生譚と『往生極楽記』 六 小結 註 第六章 浄土教における遺体の意義と死者の存在する空間 第一節 『往生要集』は遺体を尊重する儀礼の理論的根拠となりうるか 一 はじめに 二 念仏と『往生要集』の世界認識 三 臨終念仏から往生へ 四 遺体が儀礼の対象となる可能性 五 来世に儀礼が影響を与える可能性 六 小結 註 第二節 『栄花物語』に描かれる浄土信仰とその基底――『栄花物語』と『往生要集』の差違からみる貴族の浄土信仰の実態 一 はじめに 二 道長の仏教に対する期待 三 浄土往生の原理と念仏 四 死体の持つ意義 五 基底の思想 六 小結 註 第三節 二十五三昧会における遺体尊重と死者観念 一 はじめに 二 念仏の目的と行われる状況 三 死体がもつ意義 四 死者に対する念仏は何を表現するか 五 起請文への影響を与えたもの 六 小結 註 終 章 死者の扱いおよび存在の形態と空間 一 死穢とこれを排除する状況の変遷――対立の構図の変遷 二 埋葬後の死者の存在形態とその場所 参考文献 あとがき/初出一覧 索引 |
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