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源氏物語に語られた風景 風景和文への招待 |
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源氏物語に語られた風景
A5判・264頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1610-7
C1091
2022 年発行
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源氏物語を舞台として花開いた古代後期の豊かな想像力と知覚世界の現れである和文による風景と自然の織り成す相互関係と、そのもとにある人の心の動きを描き出す。
●目次● はじめに 序 章 風景和文の主題 1 語られた風景――『源氏物語』の風景へ 2 風景の語り方――風景観の現れ 3 風景和文――用語と方法 4 さまざまな自然――研究史素描 第一章 風景和文の形成――『源氏物語』の空間の成立 1 風景和文という叙法 2 「語ること」「示すこと」「歌うこと」――叙法の三つ組み 3 「示すこと」と移りゆき――発生的な連鎖 4 「歌うこと」と限(かぎ)り――きわまりとしての空間 5 型への志向――様式としての成熟 6 物語空間の成立へ 第二章 風景和文の理想――『源氏物語』の春秋の幻景 1 風景和文の創意 2 六条院舟楽の空間――示すことと歌うこと 3 花咲く樹下の水景――移りゆきと一対の揃(そろ)え 4 流水仙境に遊ぶ――競合と調和 5 住吉社頭の舞楽――重なりと見なし 6 幻想としての風景 第三章 風景和文の領域――『源氏物語』の演技する空間 1 空間と叙法――物語の時間 2 景物と恋情――和文脈と推移の感覚 3 風景と時間――予感の映像表現 4 景物の構成――意味への連絡 5 演技する空間――名の行為遂行性 第四章 風景和文の変容――『源氏物語』の景物の構成 1 表現としての風景――自然と気色(けしき) 2 風景表現の特異性――出来事の生起 3 解釈される風景――主体としての夕霧 4 自立する風景――景物の連続 5 風景和文の独自性――見なしと構成 6 変容する風景――新しい自然 第五章 風景和文の意匠――『源氏物語』の橋と鳥の形象 1 風景を整える――場面と状況 2 宇治の風景――照応する現在 3 宇治橋の映像――可視化された時間 4 橋と鵲(かささぎ)――共通と異質 5 鵲の名と図像――批評的言辞 6 風景和文の意匠性――状況の形象化 第六章 風景和文の遠近――『源氏物語』の接続する主体 1 風景和文と距離――世界との関係 2 遠景としての痛みと予兆――霞と水影(みずかげ) 3 浮遊する情動と質感――露と涙 4 世界の揺らぎと複数性――見ることと聞くこと 5 風景の接続する主体――世界への気づき 終 章 風景和文の思想 1 風景のリアル――現在の提示 2 風景和文の三つの局面――風景の名 3 風景和文の方法――運用と洗練 4 風景を名指す――『源氏物語』の風景 附章一 海辺の風景――『源氏物語』の須磨・明石から大堰(おおい)へ 1 郷愁の景 2 須磨の海辺――雁(かり)と楫(かじ) 3 須磨から明石へ――――磯と浜 4 明石の眺望――島の名 5 大堰(おおい)の水辺――篝火(かがりび)と漁火(いさりび) 6 幻景の自然 附章二 よい匂いのする情景――『源氏物語』の花の庭・樹木の香り 1 匂いの感覚 2 紫苑(しおん)が香る――朝霧の庭 3 花の匂い――樺桜(かばざくら)の咲く 4 風が運ぶ――梅・藤・橘 5 名香(みょうごう)と樒(しきみ)――仏の香 6 匂いの情景 附章三 四季の歌――『源氏物語』の和歌生活としての自然 1 歌と季節 2 水鳥のかりのこの世――家族の肖像 3 牡鹿(おじか)鳴く秋の山里――王朝社会の美徳 4 霜さゆる汀(みぎわ)の千鳥――恋情と唱偈(しょうげ) 5 物語のなかの歌 参考文献 おわりに
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