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明治改暦のゆくえ 近代日本における暦と神道 |
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明治改暦のゆくえ
A5判・328頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1637-4
C1021
2023 年発行
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明治六年より太陽暦(新暦)に改暦がなされることにより、太陰太陽暦の時代は終焉し、日本は東アジアで公式に太陽暦を採用した最初の国となる。神宮大麻とともに神道組織の流通網を通じて全国津々浦々まで頒布された新暦には、太陽暦の採用や旧来の陰陽道の暦注を排除するといった「開化」的側面と、皇紀紀元や神武天皇即位日などの祝祭日を新たに導入するという「復古」的要素が分かちがたく織りこまれていた。本書は明治改暦を、その陰にあった西洋とは異なる日本独自の暦を求める議論や提案などに光をあてつつ再考するとともに、昭和二〇年の敗戦まで暦がど のように編纂・製造・頒布されてきたかに焦点を当て、豊富な史料を用いて解き明かす。
●目次● 序 章 はじめに――研究の背景と対象 一、暦の歴史とその近代日本における位置づけ 二、近代日本の暦の研究史 三、課題と構成 第一章 近代日本における暦の「開化」と「復古」――神宮による頒暦制度の成立―― はじめに 一、「開化」からだけでは捉えきれない近代の暦 二、近代の暦に付随する「復古」性 三、近代の暦の通行制度――東京天文台による編暦と神宮宮司による頒暦体制の成立 まとめ 第二章 明治改暦におけるグレゴリオ暦をめぐる問題――日本らしい暦とは何か―― はじめに 一、明治改暦で採用された暦法とは――ユリウス暦かグレゴリオ暦か 二、政府の暦法理解 三、未完の部分を残したまま通行し始めた太陽暦――祝祭日の暦日推歩を課題として 四、改暦への多様な理解と模索 まとめ――置閏法の規定の「不備」について 第三章 近世的頒暦制度の終焉――奈良暦師・吉川家の近代―― はじめに 一、土御門家の暦支配からの離脱 二、頒暦商社による暦の専売 三、神宮司庁による頒暦――吉川家の撤退 まとめ 第四章 改暦後の新旧暦使用――『明治二十二年両暦使用取調書』の基礎的研究―― はじめに――法令としての明治改暦/継続する旧暦使用 一、『明治二十二年両暦使用取調書』の基礎的研究 二、新旧暦の使用状況――京都府を例として 三、暦使用における属性と地域性 まとめ 第五章 近代の暦と神社神道――神宮大麻とともに頒布された暦―― はじめに 一、頒暦数の推移 二、暦と神宮大麻の頒布の所管 三、頒暦と神道儀礼 四、政府による暦と神宮大麻の頒布奨励 まとめ 第六章 官暦の頒布数と流通の地域的偏り はじめに 一、官暦に頒布数の概観 二、暦への高い需要 三、戦時下の暦――昭和一六年~二〇年の際立つ多さ 四、頒暦数の地域的偏り 五、頒暦率の地域的偏り まとめ 第七章 近代日本における暦の統一と時の支配――昭和戦中期の暦と神宮大麻の頒布方法から―― はじめに 一、暦と神宮大麻の頒布数 二、頒布網の緊密化と公的性格の強化 三、頒布強制――神宮大麻の頒布徹底化の動きとともに―― 四、時間の統一 まとめ 終 章 一、戦後の暦――神道指令と統制の解除 二、総括 三、今後の展望と課題 関係法令等一覧 年表 あとがき 索引 |
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