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中江藤樹の教導思想
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中江藤樹の教導思想
A5判・320頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1654-1
C1012
2023 年発行
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「近江聖人」と称されのちに「理想的な学校教師」とまで紹介された儒学者中江藤樹の文献を広く読み解き、外来思想であった儒学思想理解の困難さと自らの教えを学習者に十全に伝えることの困難さの苦悩を示し、現代の教育・学習課題へ通じることもを論ずる。
●目次● 序論 中江藤樹を問い直す 第一章 問題の所在 はじめに――中江藤樹の紹介 一、中江藤樹の思想展開とこれまでの研究成果 二、中江藤樹が試みた〈教示〉 三、中江藤樹と同時代の儒学者たち 四、本書で考察する視角――藤樹における〈教示〉の意味と後学たちの考え 五、本書のねらい 第二章 「福善禍淫」の論理と「人と禽獣の弁別」 はじめに 一、藤樹の福善禍淫論 二、現実世界における福善禍淫の問題 三、禍福応報の構造 四、藤樹の福善禍淫論の独自性 五、人と禽獣の弁別 おわりに 第三章 初学者に向けた教示の模索 はじめに 一、『小学』と『孝経』の一致 二、『啓蒙翼伝』の特徴 三、『啓蒙翼伝』に見える『小学』の影響 四、『小学』から大乙神へ おわりに 第四章 二つの「持敬図」 はじめに 一、定稿「持敬図」について 二、真蹟「持敬図」と定稿「持敬図」との違い 三、『四書合一図説』による四書の一致について 四、定稿「持敬図」における外円の文字について おわりに 第五章 『翁問答』から見る〈教示〉対象の顕在化 はじめに 一、『翁問答』の「正真の学問」 二、『改正篇』の説く「学習者の問題」 おわりに 第六章 学習者に求める振る舞い――独学から講論へ―― はじめに 一、書院の日々 二、「心法」の大切さ 三、師友講論の重視 おわりに 第七章 「慎独」の重視、あるいは「慎独」に挫ける「同志」たち はじめに 一、書簡による〈教示〉の諸問題 二、『大学解』に見る藤樹の修養論 三、書簡に見える「慎独」の〈教示〉 四、「対算」の重視 おわりに 第八章 「立志」を〈教示〉することの問題 はじめに 一、藤樹による「立志」の〈教示〉について 二、「立志」自体に苦しむ「同志」たち 三、経典注釈書における変化とその意義 おわりに 終章 中江藤樹の思想史的位置と藤樹後学たちのたたかい 一、本書における中江藤樹研究のまとめ 二、中江藤樹の独自性 三、藤樹後学たちによる継承 補論1 藤樹書院と中江常省 はじめに 一、中江常省による「立志」説 二、藤樹の言説を引用する常省 おわりに 補論2 淵岡山における「藤樹学」の自覚 はじめに 一、淵岡山による「立志」への言及 二、淵岡山による〈教示〉 三、淵岡山の自覚する「先師・藤樹の学」 おわりに 補論3 会津藤樹学派の展開と〈藤樹の教え〉 はじめに――問題の所在 一、会津喜多方における継承 二、北川親懿による、木村難波の学問の継承 三、北川親懿における藤樹への回帰 おわりに――親懿晩年の課題 結論 中江藤樹研究の現代的意義 あとがき 初出一覧 索引 |
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