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吉本隆明の戦後 一九五〇年代の軌跡 |
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吉本隆明の戦後
四六判・304頁
ISBN4-8315- ISBN978-4-8315-1316-8
C1095
2012 年発行
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前著『吉本隆明の一九四〇年代』に続き、吉本隆明の戦後における言語表現、転向論等から、戦後の論壇への登場を描く。
●目次● まえがき 第一章 感性と社会の隘路を拓く Ⅰ 詩人として 大学に舞い戻る/「安西冬衛論」/肯定韻と否定韻 Ⅱ アラゴン―戦時抵抗の詩 戦時抵抗とはなにか/日本の抵抗詩/韻律の問題 Ⅲ 『転位のための十篇』 「火の秋の物語」/「一九五二の五月の悲歌」/転換はどこから来たか Ⅳ もっともマルクス主義に近づいた日 組合長就任/発展段階説/闘争そして敗北 Ⅴ マルクス主義への疑念 ルカーチのサルトル批判/ルカーチ批判/失職、そして結婚 Ⅵ 現代詩史の構想 現代詩の起点/抒情詩型、意識詩型、民俗詩型/新しい近代詩史の試み 第二章 小林秀雄批判としての『マチウ書試論』 Ⅰ 『マチウ書試論』の構成 執筆時期/主語表記から見る/「1」と「2」の齟齬 Ⅱ 小林秀雄の解釈 神学者ルナン/「大審問官」/自由の問題 Ⅲ 吉本隆明の解釈 思想史的方法/奇蹟の必要性/マルクス主義 Ⅳ 小林秀雄批判の本質 「小林秀雄の方法」/高村論及び転向論との共通性/異様なという言葉/関係の絶対性ということ 第三章 『マチウ書試論』の形成と和辻哲郎 Ⅰ 古典の読み直し オールド・リベラリスト/文学として読む/『伊勢物語』論 Ⅱ 和辻哲郎の古典研究 『源氏物語』論/思想史的方法/小林秀雄への不満 Ⅲ ドレウスの『キリスト神話』 ドレウスの影響/神話の解体 Ⅳ 和辻哲郎の原始キリスト教論 現代への関心/神話説/「マタイ伝」と「マルコ伝」/なぜ「マタイ伝」か Ⅴ 和辻、ドレウス、吉本 背景/仮構/動機/想像力 第四章 マルクス主義からの離脱 Ⅰ 蕪村論―韻律と社会秩序の架橋 マルクス主義の影響/破調の試み、長詩の試み Ⅱ 戦争責任論の発端 『新日本文学』批判/高村光太郎論/壺井繁治の戦争詩 Ⅲ 二段階転向論 日本共産党批判/二段階の転向 Ⅳ 現代詩の行方 戦後詩の課題/「荒地」と「列島」/新しい時代 Ⅴ 戦争責任論の提起 文壇デビュー/「エデンの島」/他の論敵たち Ⅵ 「四季」派批判 北園克衛の場合/岡本潤の場合/三好達治の場合 Ⅶ 現代詩の戦前と戦後 モダニズムの発展と衰退/プロレタリア詩の課題/戦前と戦後の連続性 Ⅷ 現代詩の課題 詩と小説のあいだ/詩の大衆化/暗喩の陥穽 第五章 『高村光太郎』 Ⅰ 「高村光太郎ノート―「のつぽの奴は黙つてゐる」について―」 戦犯リスト/最初の高村論/戦争への傾斜/飯塚書店版から五月書房版へ Ⅱ 「幸徳事件前後」 「出さずにしまった手紙の一束」/大逆事件/デカダンスの意味 Ⅲ 「『道程』の方法」 『道程』の独創性/擬人法の乱用/『道程』の心理性/衣裳の剥落 Ⅳ 「智恵子抄」 新しい女/自然/ヴェルハーラン Ⅴ 「戦争期」 高村の屈服/伝統的自然への退行/詩人たちの退行 Ⅵ 「敗戦期の問題」 「一億の号泣」/異和感の本質/五月書房版の書き加え Ⅶ 「戦後期」 天皇制の問題/戦争詩への反省/性欲の問題 第六章 短歌命数論争 Ⅰ 吉本の提起 発端/定型という枠組み/擬人法の問題/政治と文学の問題 Ⅱ 岡井隆の反論と吉本の駁論 赤木は通用しているか?/マルクス主義?/散文の発想/定型短歌は亡びる Ⅲ 岡井の再反論と吉本の再駁論 衒学趣味/弁解/口語派と文語派/形式と内容 Ⅳ 岡井の短歌改革案と吉本の総括 アララギ批判/改革案/短歌の命数/区切りの問題 Ⅴ 寺山修司の吉本批判 介入/散文的発想という考えへの批判/影響 第七章 詩と小説のあいだ Ⅰ 戦後文学の批評 転向者の文学/野間、椎名、埴谷/梅崎、武田、堀田 Ⅱ プロレタリア文学史の検討 芸術大衆論争/蔵原理論の貫徹/林房雄と亀井勝一郎 Ⅲ 「文学の上部構造性」 政治的とはなにか/創造と享受/古典のもつ価値 Ⅳ 「芸術的抵抗と挫折」 三二テーゼ/観念的な抵抗意識/下層庶民の実相/理論と現実の乖離 Ⅴ 「四季」派の本質 抒情の構造/危機の意識/伝統的感性 第八章 転向論の提起と展開 Ⅰ 「転向論」の提起 佐野・鍋山の転向/コミンテルン批判/転向と非転向/「転向論」の影響 Ⅱ 芸術大衆化の問題―転向論の展開 転向論からの視点/<転向軸>と<非転向軸>/文劇復興期の文学/再び小林秀雄/敗戦 Ⅲ 再び詩人論 戦時下の詩人たち/詩人たちの転落/プロレタリア詩の場合 Ⅳ 言語表現とはなにか 文学的表現について/鮎川信夫と吉岡実/マルクス/小林秀雄を超えて/安保反対声明 初出一覧 あとがき
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